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消防団は消防署とは別にある地域の防災ボランティア団体です。火事の時に出動するだけでなく、災害時にも救助活動にあたるなど幅広い分野での地域防災を担当します。
しかしこの消防団は加入団員数が年々減少。1955年に200万人いた消防団員は2020年には81万8千人まで落ち込みました。
その理由の1つに「激務なのにろくな給料もでない」という点があります。今回は消防団の仕事内容や給料、加入のメリット・デメリットをまとめるとともに、やりたくない人が消防団にならないための方法も紹介します。
消防団の仕事内容は?
消防団の仕事内容は地域によって大きく異なります。
- 消火活動…初期の消火活動、近隣住民の避難誘導、安否確認など
- 救助活動…行方不明者の捜索、地震などの救助活動など
- 水防活動…大雨時の水門閉鎖、堤防の応急補強など
- 防火活動…イベントごとの防火警備や防災訓練の実施など
- 啓発活動…火の用心などの活動ほか
地元の花火大会や盆踊り、成人式、餅つき大会などがある地域では消防団がボランティアとして警備や誘導にあたることがあります。
ほかにも毎年1月中に行われる出初式(でぞめしき)では獅子舞や火消しハシゴ乗り、団員や消防車による行進など、市民へのパフォーマンスを行う地域もあります。
ただし、年々団員が減少していること、人の集まりが悪いことなどから団員だけで通常点検をして出初式を終わらせる地域も少なくありません。
実際の活動時間は?
消防団の活動時間は地域によってかなり異なります。
雪の降る地域では除雪作業が必要になりますが、降らない地域ではその作業分の時間が減ります。また、その地域の方針によって活動が盛んな消防団もあれば規模を縮小する消防団もあるため、一概に消防団の活動時間はこれくらいだということは出来ません。
特に、操法にどれだけの力を入れているかで活動時間は天と地ほどの差が開きます。
操法(そうほう)とは、簡単に言えば消防車に乗って消火するまでのデモンストレーションのことです。消防車を使って防火水槽から火事に見立てた地点へ水をかけて消火、撤収するまでの動作がすべて決まっており、短時間でどれだけ正確に行えるかを競うことで、大会もあります。
この操法大会の練習は各消防団に一任されるため、3か月週3回2時間練習のところもあれば、2週間毎日2時間練習のところもあります。全国大会の常連やトップクラスの消防団になるともっと時間がかけられるため、もはや部活。
そこまで操法に力を入れていない消防団であれば年間50~70回程度1時間~丸1日の拘束時間で済みますが、操法に本気の消防団は100日以上最低2時間~丸1日の時間やそれ以上の時間がとられるところもあるようです。
消防職員との違いは?
消防職員と消防団員は別の存在です。
消防署に常勤している消防隊員は地方公務員であるためその地方の採用試験を合格する必要があります。絶対条件ではありませんが、身長や体重・視力や聴力にも制限があり体力テストも存在します。
消防団員は非常勤の特別職地方公務員という扱いになり、一般的にはその地域に住んでいる18歳以上の男女が入団できます。隣町などでも、その地域に仕事に来ていれば加入できる場合もあります。
消防職員と消防団員の明確な差は待遇です。消防隊員は消防署などに常勤する公務員であるのに対し、消防団員は本業となる業務を持ちながら空いた時間で地域の防災を担う存在。そのため拘束される時間もそれに支払われる金額も変わってきます。
消防団の給料や手当は?
消防団の報酬や手当は地域の条例によって変わります。
役職名 | 年額報酬の平均額 |
団長 | 144,785円 |
副団長 | 104,438円 |
分団長 | 74,010円 |
班長 | 36,387円 |
一般団員 | 30,925円 |
「月にこれだけもらえるならまぁまぁいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、こちらは年額です。1年間消火活動などがなかった場合の基本報酬であり、消防団長まで上り詰めてようやく月1万円を超える計算になります。
また、これとは別に火災時の消火活動に出動したりすると出動手当がもらえます。これは1回あたり7,000円という平均値が出ています。
しかし田舎になるほど、税収の少ない地方になるほど消防団の報酬額は減少するため、上記金額がもらえている消防団はかなり恵まれている方です。
参考までに、人口14,000人程度の私の地域での消防団の報酬は以下のとおりです。
団長 | 120,000円 |
副団長 | 90,000円 |
分団長 | 63,000円 |
班長 | 30,000円 |
一般団員 | 12,000円 |
出動・訓練・警戒 手当1回の金額 | 1,000円 |
全体的に平均値を下回っています。自分の自治体の報酬額を知りたい時は「(調べたい地域の名前) 消防団 報酬 条例」で検索すると服務条例が表示されるので、そちらで確認してください。
報酬をもらったことがない人がいるのは何故?
消防団というと無償ボランティアのイメージがありませんか?実は、市町村から支給される消防団への報酬を団員に支払わない地域があります。
田舎の消防団になるほど、運営状況が悪く設備修理や管理費が足りないため市町村から振り込まれる報酬をその運営費にあてる場合が多いです。
その上報酬を受け取った後の処理は各消防団に一任されるため、会計が不透明なケースもしばしば。たとえば飲み会が多くある消防団所属で報酬を受け取ったことがない場合は、飲み会や旅行などに使われていると思った方が良いでしょう。
消防団に加入するメリット・デメリットは?
消防団は大人になったり引っ越したりするとまず入団するよう勧誘されます。
加入のメリットは?
特に転勤などで知らない地方へ行った場合、知り合いや友人もおらず地域で孤立しがちです。そんな時に消防団に入団すると、ひとまず相手の名前を知ることが出来ます。ただし馴染めるかどうかはその地域の特色によるため、あくまで副産物程度に考えた方が良いでしょう。
ぶっちゃけ田舎になればなるほど、新しく引っ越してきた人の情報は爆発的に近隣に広がります。しかし引っ越して来た側からすると、引っ越しあいさつに回った周囲の何軒かしか名前は分かりません。その状態に不満があるなら消防団に加入し、活動に参加すると「地域になじもうとしている」と良い目で見られることも。
ただし、その消防団での人間関係がギクシャクしていると最悪です。加入を勧められても「引っ越したばかりでまだ分からないから保留にしたい」などと言って一度様子を見ましょう。
ここで「馴染みたいなら加入するべき!」と強く加入を勧められるようであれば、そこは団員数が足りずかなり苦しんでいる消防団です。加入したら報酬もないのに雑務で駆り出される可能性があるのでやめておいた方が良いでしょう。
加入のデメリットは?
消防団に加入するデメリットは「とにかく時間を拘束される」ことです。
消火活動がなくとも地域のイベントごとにことあるごとに駆り出され、祭りや草むしり、除雪、防災パトロールなどやることはたくさんあります。その上操法に力を入れている団はその練習時間で相当な日数を取られるため、とにかく時間がとられます。そのため家庭のある人は間違いなくいい顔をされないでしょう。
また、消防団の報酬はその市町村で条例により定められており、火事などの出動がない限りは手当もなく年額報酬しかもらえません。熱意を持って防災に取り組んでも、一般団員であれば年に10万円も超えないような報酬しかもらえないため、本気で地域の防災に取り組みたいならその地域の役場職員や消防職員になった方が金銭的にも時間的にも出来ること的にもオススメです。
まとめ 断れるなら加入しない方がいい
消防団は基本的に人手不足であり、報酬はもらえても一般団員であれば年10万円も超えません。その上地域によっては消防団が便利屋のように草むしりからイベントの警備、祭りの実行などを担っているところもあるため、割に合わないところが多いです。
地域に密着した組織ですので、新たに引っ越して来た人が馴染むためには一つの手としてオススメですが、新規参入者であることを逆手にとって面倒ごとを全部押し付けられる可能性もあります。あくまで広く浅くの関係にとどめて置いた方が無難ですよ。
そのため、消防団加入は断れるならやめた方が絶対にいいです。
ただし昔からその土地で育っていて顔なじみである、両親や消防団にお世話になった回数が多すぎるなど、断るに断れないこともあるでしょう。そんなときは仕事を理由に断ってみて、それでも無理なら多忙を理由にあまり活動に参加できないことを先に言っておくと良いですよ。もし活動への出席率の悪さを言われたら加入時に約束したでしょうと言えますからね。
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