文化勲章受章者と文化功労者の違いは?お金をもらえるのは文化功労者だけ!

褒章・寄付
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2019年度の文化勲章受章者と文化功労者が10月29日に発表されました。文化勲章を受章した人は6人、文化功労者に選ばれたのは21人です。

文化勲章受章者と文化功労者では、文化勲章を授けられる方がより日本の文化の発展や向上に貢献したと考えられます。だから文化勲章を受章する人の方が多くの褒美をもらえる…というのは間違いです。

実は、文化勲章には報奨金がびた一文発生しません。対して文化功労者には年間350万円の支給があります。

このページでは文化勲章と文化功労者の違い、報奨金の違いについて調べてみました。

文化勲章と文化功労者の違い

まず、文部科学大臣が文化功労者としてふさわしい人を選ぶように文化審議会に呼びかけます。その基準は「日本の文化の発展・向上にめざましい功績を挙げた者」。これを基準にして文化審議会が「文化功労者として十分な功績を持つ人リスト」を文部科学大臣に提出し、そのリストの中から文部科学大臣が選ばれた人が文化功労者として認定されます。

対して、文化勲章は基本的に文化功労者に選ばれた人の中からしか選ばれません。
文部科学大臣が推薦し、内閣府賞勲局(しょうくんきょく)という勲章や褒章などを扱う組織で審査され、閣議(内閣の会議)で決定されます。

既に功績が十分であると判断された文化功労者の中でもとりわけ文化の発展に大いに功績を挙げた人が選ばれます。毎年5人程度が内閣総理大臣に推薦されているようですね。

2019年に文化勲章を受章したのは6人。

  • 甘利俊一(あまり しゅんいち)東大名誉教授。2012年文化功労者
  • 坂口志文(さかぐち しもん)大阪大特任教授。2017年文化功労者
  • 佐々木毅(ささき たけし)元東大学長。2015年文化功労者
  • 田沼武能(たぬま たけよし)写真家。2003年文化功労者
  • 野村萬(のむら まん)能楽師。2009年文化功労者
  • 吉野彰(よしの あきら)旭化成名誉フェロー。2019年文化功労者

6人中5人が文化功労者として既に選ばれた人でした。唯一の例外は吉野彰さんで、2019年度の文化功労者と文化勲章を同時に受章しました。

基本的に文化功労者の中から選ばれますが、吉野さんのように文化功労者に選ばれていなかった人も功績によっては同時に選ばれるなど、例外もあります。

また、ノーベル賞を受賞した人は文化勲章を受章されやすくなります。1973年にノーベル物理学賞を受賞した江崎玲於奈さんが翌年の1974年に文化勲章を受章したことをきっかけに、それ以降はノーベル賞受賞と文化勲章受章は同じ年に行われることになりました。

ただし、1974年にノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作さんは「文化に直結しない」ことを理由に授与されていません。

実は文化勲章を授与されたけれども辞退した人は4人います。

まずは、1955年に選ばれた河井寛次郎さん。陶芸家の河井さんは「名利を求めない」という信条のもと辞退しました。自分の作品に銘を入れないだけでなく、人間国宝の選定も辞退しています。

1968年に選ばれたのは熊谷守一さん。熊谷さんは孤高の洋画家で、ただでさえ来客を避けるのが大変なのにこれ以上人が来てくれては困る、という理由で辞退しました。

1994年に選ばれたのは大江健三郎さん。小説家の大江さんは同年である1994年にノーベル文学賞を受賞し、文化勲章の授与が決まりました。しかし「民主主義に勝る権威と価値観を認めない!」という思想の元、文化勲章の受章どころか文化勲章の存在そのものを否定してしまいました。

1995年に選ばれたのは杉村春子さん。舞台演劇女優の彼女は「自分には大きすぎる」と辞退し、「戦争中に亡くなった俳優を差し置いてもらうことはできない」とも語りました。

文化勲章受章者には報奨金はゼロ。その理由は憲法

文化勲章はその名の通り勲章です。その取扱いは憲法で定められているのですが、実は第14条にはこのような記載があります。

日本国憲法十四条
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

日本国憲法 e-Gov法令検索

この法律により、政府は文化勲章の受章者に褒賞金を支給することができません。

けれど勲章を受章するほど日本の文化に貢献した人たちに、何らかの形で報いたいという気持ちが国民や政府にはありました。

そこで1951年に創設されたのが、文化功労者顕彰制度です。1950年までの文化勲章受章者が一斉に顕彰され、翌年以降も文化勲章受章とは別に文化功労者という名誉が確立しました。

文化勲章受章ではなく文化功労者に褒賞金を与えることによって、同一人物がいても直接文化勲章受章者に金品を送っているわけじゃないからセーフ!という理論です。

文化功労者がもらえるお金は年金

1951年にできた文化功労者顕彰制度は、文化功労者に年金を支給することで文化勲章に年金としての機能を持たせたものです。

文化勲章の受章者に金品を送ることはできない、じゃあ年金ならいいよね!というちょっとした屁理屈によって創立された制度。

文化功労者に選ばれた人は、文化功労者年金法施行令によって定められている金額の年金を受け取ることができます。

その金額はなんと、年間で350万円。
しかもこの年金は終身年金に分類されるものです。

つまり、一度文化功労者に選ばれたら死ぬまで毎年350万円がもらえるということ!

40年間国民年金を納めた場合、現在の支給額は月に約65,000円。年額にしても78万円です。

圧倒的に高いです。現在の年金受給者どころか、一般的な正社員の年収よりも高い金額を受け取ることができるんですね。

文化功労者に選ばれるということは、それだけの金額が支給されるほどに日本に貢献したということでもあります。

まとめ

文化勲章受章者に褒賞金などを与えることは憲法第14条によって禁止されています。そのため、文化勲章受章者を文化功労者としても選定し、文化功労者への褒賞金として年間350万円の年金が死ぬまでもらえるようになっています。

とてつもなく高いハードルですが、掛け金なしで年間350万円の年金がもらえるのは夢のようですよね。

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