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2019年12月にはイージス艦「みょうこう」艦長に着任した大谷三穂1等海佐が女性であるため、イージス艦初の女性艦長が誕生したと話題になった海上自衛隊。1等海佐が将官に次ぐ佐官に位置し、強い権力を持つことから女性自衛官の活躍にも注目が集まりました。
このページでは自衛隊の中で特に躍進して高い階級に就いた女性自衛官について調べてみました。
自衛隊の階級について
自衛隊は陸上・海上・航空の3部隊とその全てを統合して監理する統合監理部という組織があります。それぞれのトップは幕僚長(ばくりょうちょう)と呼ばれており、陸上幕僚長・海上幕僚長・航空幕僚長よりも統合幕僚長の方が強い権力を持っています。
最高指揮官である内閣総理大臣を除けば、統合幕僚長が自衛隊の中で最も強い権力を持ちます。
簡単な早見表はこちらです。上から順番に権力が強いです。
- 統合幕僚長
- 幕僚長(陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長)
- 将(陸将、海将、空将)
- 将補(陸将補、海将補、空将補)
- 1佐(1等陸佐、1等海佐、1等空佐)
- 2佐(2等陸佐、2等海佐、2等空佐)
- 3佐(3等陸佐、3等海佐、3等空佐)
- 1尉(1等陸尉、1等海尉、1等空尉)
- 2尉(2等陸尉、2等海尉、2等空尉)
- 3尉(3等陸尉、3等海尉、3等空尉)
- 准尉(陸准尉、海准尉、空准尉)
- 曹長(陸曹長、海曹長、空曹長)
- 1曹(1等陸曹、1等海曹、1等空曹)
- 2曹(2等陸曹、2等海曹、2等空曹)
- 3曹(3等陸曹、3等海曹、3等空曹)
- 士長(陸士長、海士長、空士長)
- 1士(1等陸士、1等海士、1等空士)
- 2士(2等陸士、2等海士、2等空士)
このうち幕僚長・将・将補は「将官」であり、1佐~3佐までは「佐官」、1尉~准尉までは「尉官」と呼ばれ、この3つのクラスを幹部と言います。よくニュースで聞く「自衛隊幹部」はこれらの階級のどれかを指していますよ。
ちなみに令和元年度版防衛白書によると、2019年3月末時点で女性自衛官の数は約15,000人であり、全自衛官のうちわずか約6.5%ほど。残りの約93.5%は全て男性です。
このうち幹部(将官・佐官・尉官)は2,329人。ちなみに男女含めた幹部の合計が42,274人です。
この2,329人のうち、「将官」まで昇給したのは既に退役した人を含めてもたった5名しかいません。
出世した女性自衛官5名紹介!
女性自衛官の昇進で最高クラスまで上り詰めたのはたったの5名しかいません。女性初のイージス艦艦長となった大谷三穂1等海佐よりもさらに上位に位置する「幕僚長」「将」「将補」のうち、将補まで進んだのがこの5名です。
佐伯光 海将補
佐伯光さんは1943年生まれで現在は78歳。佐伯さんはかつて、陸海空自衛隊で初の女性将官となりました。海上自衛隊に属し、最終的に海将補まで昇給しています。2003年3月に退官されました。
医学博士で産婦人科が専門であり、女性自衛官の制服にマタニティドレスを加えるなど、女性自衛官の育児環境を発展させた人でもあります。
梶田ミチ子 空将補
梶田ミチ子さんは1952年生まれで現在は68歳です。梶田さんは自衛隊で2例目、航空自衛隊では初の女性将補となりました。比較的女性の多い医官・歯科医官ではない女性将官と言われていますが、実は特別昇任によって空将補となりました。
特別昇任は退官する際に特定の基準を満たすと昇進するシステムのことをいいます。そのため、梶田さんは空将補として活躍したわけではなく退官日(2007年12月)に空将補に特別昇任した形です。
柏原敬子 空将補
柏原敬子さんは1956年生まれで現在は63歳です。比較的女性が活躍しやすかった医官ではなく、一般的な武官として初めて現職で将補まで昇進した人です。航空自衛隊に属し、空将補まで昇進しました。
空将補を2年務めた後の2013年8月に退官しています。
近藤奈津枝 海将補
近藤奈津枝さんは1966年生まれの53歳。海上自衛隊初の女性将官であり、2016年に海将補まで上り詰めました。同時に陸海空全てを統合する統合幕僚監部で女性として初めて幹部職(主席後方補給官)をつとめ、その2年後の2018年には大湊地方総監部幕僚長まで昇進しています。こちらも女性としては初の幕僚長です。
近藤さんは現在も階級は海将補であり、大湊地方総監部幕僚長として活躍されています。
小野打泰子 空将補
小野打泰子(おのうち やすこ)さんは1964年生まれの55歳。航空自衛隊に所属し、2018年に空将補に昇進し統合幕僚監部報道官に転属されています。さらに2019年に入ると航空自衛隊の学校の校長と熊谷基地司令に就任しています。
ちなみに2017年9月、北朝鮮によるミサイル発射によって緊迫する三沢基地に配属されました。こちらも女性自衛官でミサイル防衛を担当する第6高射群司令をつとめたのは小野打さんが初となります。
自衛隊は女性の躍進が続く
自衛隊はもともと男性だけの採用でしたが、1952年に看護職限定で、1967年に一般職域でも女性の採用が始まりました。防衛白書(令和元年度版)によると陸海空・統合幕僚監部など含めて247,154人の自衛官がおり、そのうち女性は15,734人。全体のわずか6%ほどしかいません。
中でも幹部職は42,274人中女性は2,329人。ほとんどが男性しかおらず、また女性自衛官の最高昇進クラスは「幕僚長」「将」に次ぐ「将補」止まりです。
しかし女性初のイージス艦艦長が誕生したり、大湊地方総監部幕僚長が女性であったりと、女性の躍進が続いています。
特に自衛隊は不規則な勤務になりやすいため、託児所や育児休業などの制度の充実に力を入れています。今後は働く女性の選択肢の1つに入ることもあるかもしれませんね。
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