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石川県金沢市の71歳男性がマイナスドライバーを隠し持っていることが違法であるとして現行犯逮捕されました。このニュースを受けてネットでは様々なブーイングが飛び交っています。
このページではマイナスドライバーの所持について関連法律とどうしたら逮捕されてしまうのか調べてみました。
マイナスドライバーをただ持っているだけでは逮捕されない
マイナスドライバーは建築や機械などの専門職だけでなく一般人も広く使うことのできる便利な工具です。ホームセンターなどでは大小さまざまなドライバーが販売されていますね。
SNSを中心としたインターネット上ではマイナスドライバーを所持する、あるいは購入するだけで逮捕される!とちょっとした騒ぎになっています。
しかし、マイナスドライバーをただ持っているだけで逮捕されることはありません。
マイナスドライバーは「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」において指定侵入工具であると規定されています。
第二条
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律
三 指定侵入工具 ドライバー、バールその他の工具(特殊開錠用具に該当するものを除く。)であって、建物錠を破壊するため又は建物の出入口若しくは窓の戸を破るために用いられるもののうち、建物への侵入の用に供されるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいう。
第二条
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行令
法第二条第三号の政令で定める工具は、次に掲げるものとする。
一 次のいずれにも該当するドライバー
イ 先端部が平らで、その幅が〇・五センチメートル以上であること。
ロ 長さ(専用の柄を取り付けることができるものにあっては、柄を取り付けたときの長さ)が十五センチメートル以上であること。
マイナスドライバーがNGでプラスドライバーがOKなのは第二条イの「先端部が平ら」という要件によるものですね。
正当な理由なく隠し持っていることがポイント
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律では次のような規定があります。
第四条
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律
何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定侵入工具を隠して携帯してはならない。
つまり、仕事で使う大工さんや修理業者さんは仕事中であればOK。一般人でも正当な理由があればセーフとなります。
一般的な理由としては、「ホームセンターなどで購入した帰り道である」「○○へ行って修理を行う予定がある」などがあたります。
ちなみに「自動車の修理用として車内に置いている」は人によって正当な理由であるか判断が変わります。
全く怪しいことのない、犯罪歴もない人なら軽く見逃してもらえることがほとんどです。しかし空き巣に入ったことがある、前科持ちである、など犯罪に近しい人は再犯を疑われるため違法所持とされる可能性もあります。
特に自動車は多くの犯罪に使用されるため、夜中に人気のない住宅街などで職務質問を受けた場合は根掘り葉掘り事情を聴きだされることもあるようです。
しかし警察も車に工具箱を載せる人が多いこと、その中にマイナスドライバーがあることも分かっています。そのためウソをついたりせず、きちんと理由を話せば引き下がってくれることの方が多いです。
実は他にも逮捕者はいた
マイナスドライバーの所持を違法とみなされ、逮捕された人は石川県金沢市の無職71歳男性だけではありません。
- 2010年
埼玉県草加市の男性(48歳)が「何かあった時のために」マイナスドライバーをリュック内に所持していたことは違法であると逮捕 - 2017年
乗用車内にマイナスドライバー2本を違法所持したとして陸上自衛隊八戸駐屯地の3等陸曹男性が逮捕 - 2018年
山梨県甲府市の自称無職の男性(19歳)が正当な理由なしにマイナスドライバーを隠し持っていたため逮捕
この法律は2003年に施行され、現在にいたります。強盗や殺人などの主だった犯罪に比べて発生件数も少なく、実際に空き巣に入った場合などは住居侵入や窃盗、強盗で逮捕されるためこの法律による逮捕者は少ないようです。
批判殺到の理由は国民差別?
正当な理由なく隠し持っていたことがマイナスドライバー所持逮捕の理由です。しかし今ネット上では「ただ持っているだけで逮捕される」「購入したら逮捕される」というようにインパクトのある文言が多く広がっています。
その中に「上級国民」や「下級国民」といった表現があることをご存知でしょうか?
2019年4月、東京池袋で87歳の高齢ドライバーの運転する車が通行人をはね、2名が死亡10名が負傷する事故が発生しました。しかし、逮捕されていません。
ドライバーの飯塚幸三さんが旧通産省工業技術院の元院長で勲章を受章したこともあったことから「逮捕されないのは上級国民の特権だ!」と皮肉めいたニュアンスで使用されはじめました。
さらに同じ2019年10月、河井克行元法務大臣(56歳)が秘書にスピード違反をさせていたことが明らかになっています。80キロ制限の高速道路を140キロで走行させたとのこと。
本来、50キロ以上の速度超過は一発免停の対象で6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となります。しかし60キロの速度超過をしていた河井元法務大臣は逮捕も罰金刑も受けていません。
しかもこれ、警察が知らなかったわけではありません。この日河井元法務大臣はイベントのために広島県内を移動しており、秘書が運転する車の後ろには警護のために広島県警の車両が追いかけていたのです。目の前で60キロオーバーのスピード違反を確認しておきながら、広島県警がとったのは事務所に注意を促す電話を入れることだけ。
同じ年に元通産省工業技術院の元院長、法務大臣の違法行為を逮捕、取り締まりをしなかったことが「上級国民は逮捕されない」というバッシングにつながっていました。
そこへ無職の71歳男性がマイナスドライバーを所持していたことは正当な理由がなく違法であると逮捕にふみきったため、「上級国民は無罪放免で下級国民は即逮捕される」とブーイングが集まっているのです。
まとめ
今回の事件、71歳の男性はマイナスドライバー所持を正当な理由がないと判断されたために特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反であるとして逮捕されました。
過去にも正当な理由がない違法所持であるとして当時未成年の少年や陸上自衛隊の隊員も逮捕されたことがありました。
その一方で車を暴走させ死亡者2名・重軽傷者10名を出した飯塚幸三さんを逮捕しなかったこと、河井元法務大臣が秘書に悪質なスピード違反をさせた事実を知りながら逮捕しなかった広島県警の行動にバッシングが集まっています。
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