報道の自由は遺族の訴えよりも重い?「そっとしておいて」が無視される理由をざっくり解説

芸能

人気女子プロレスラーの木村花さんが亡くなり、SNSの誹謗中傷問題や芸能人のプライバシーの権利と同じくらい話題となっているのが「メディアの報道姿勢」です。

大事な人がこの世から去ってしまった悲しみに暮れる遺族らをパシャパシャ撮影し、「どんなお気持ちですか」とマイクを向ける姿は、無関係の人でも眉をしかめてしまう不愉快なものです。

過熱する報道にプライバシーの保護を訴えても、報道の自由で返されることがしばしば。え?報道の自由ってそんなに強いの?と疑問に思ったことはないでしょうか。

このページでは報道の自由とプライバシーの権利との関係をざっくりと解説します。

たびたび問題視されるメディアの報道

日本のメディアというのは、良くも悪くも一つの話題を根掘り葉掘り調べつくして報道します。

たとえば最近話題となっている女子プロレスラーの木村花さんの死亡について。

木村花さんの訃報が明かされたのは5月23日のことです。フジテレビ系の恋愛番組「テラスハウス」に出演後、SNS上で続く誹謗中傷に耐えられなくなって自殺したのだと、本人のTwitter情報などから自殺したとメディアは報道しました。

翌24日、木村花さんの母である木村響子さんは自身のTwitterで「マスコミの皆様へ」と報道各社を名指ししてツイートしました。

しかしご存知のように、メディア各社は連日のようにSNSでの誹謗中傷について報道し、同じくらい木村花さんについても報じています。

花さんのTwitterはもちろんのこと、所属事務所であったスターダム事務所に問い合わせたり、「木村花さんの死因に事件性はない」と公表した警察にべったり張り付いたり。それどころか同じ女子プロレスラーの人々、花さんや響子さんの友人・知人ら、自宅の近隣の人々にまでコメントを求めたりと、残された人々への配慮はとてもじゃありませんが見受けられませんでした。

ネット上でも過度な報道に苦言を呈する言葉が多くありました。しかし残念ながら、大勢の人や木村響子さんの声は届かなかったようです。26日、響子さんは再度ツイートをしました。


ここまでされても、報道各社は木村花さんの死亡について大々的に報じています。

プライバシーや個人情報保護の元にそっとしておいてやれという世間の声に反論するのが、「報道の自由」という言葉です。

プライバシーを守る個人情報保護法と報道の自由の関係

日本国民はすべて、憲法によって生まれながらにしてプライバシーの権利(第13条)表現の自由(第21条)が保障されています。

そのため、「事実を報道する!」と取材・報道するメディアの権利は正しく守られるものですし、その報道に対して「プライバシーの侵害だからやめろ!」と当事者が主張することも認められます。

さらに、個人の情報を保護する法律である個人情報保護法が2005年4月に施行されました。これは、守られる権利だけでなく個人情報を取り扱う人や団体にも義務も明らかにしています。(個人情報保護法第4章にて)

ここでは本人の同意を得ないで個人情報を取り扱わないこと、不正な方法で情報を入手しないことなど、入手した正しい情報を勝手に公表しないこと、勝手に第三者に渡さないことなどが規定されています。

今回問題になっているのは、既に木村花さんが死亡していることです。つまり、本人がプライバシーの侵害を訴えることが出来ません。

では遺族らがプライバシーの保護や個人情報の保護を訴えることは出来るか?と言えば、出来ます。

ただし報道各社がそれを守るとは限りません。

何故なら、報道機関は個人情報保護法第4章が適用されないのです。

報道機関は個人情報保護法第4章が適用されない

個人情報を守るための個人情報保護法。この法律は個人情報の保護だけでなく、第4章の多くの条によって取り扱う団体などに様々な義務を課しています。そんな中、報道機関は第4章を守らなくていいと除外する第76条というものがあります。

第七十六条

 個人情報取扱事業者等のうち次の各号に掲げる者については、その個人情報等を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ当該各号に規定する目的であるときは、第四章の規定は、適用しない。

一 報道機関、新聞社、通信社そのほかの報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的

個人情報の保護に関する法律 e-Gov法令検索

本人の同意なしで個人情報を取り扱ってはいけない(第16条)
情報を不正に入手してはならない(第17条)

といった条文を守らなくていいということです。

その理由は、やはり報道の自由。本人の同意がなければ報道できないというのは、悪いことを隠したい人がYesと言わないことを考えると仕方ないのかもしれません。

しかし、ここまで過度な報道をする必要はないでしょう。明らかに、報道各社の倫理観が緩い証拠ではないでしょうか。

とはいえ報道局も理由なく人のプライバシーを根掘り葉掘り探りまわっているわけではありません。その報道をすると視聴率が良いという事実があるからです。民間の報道局はやはり視聴率は売上が大事なので、他の局に負けないようにと報道が過熱していくようですね。

おわりに

日本国民は生まれながらにして様々な権利が保障されています。その中にあるのが個人情報やプライバシーを守る権利と、真実を知る権利、知るために正しい情報を報道する自由です。

遺族らのそっとしておいてほしいという願いは、報道の自由の元に聞き流されます。そもそも、個人情報を守ってと訴えかけても報道局には報道目的であれば取り扱いの条文を守らなくていいという状態。求められるのは、報道局の倫理観と、その視聴者である一般人のモラルですね。

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