ゴーテルはどうして毒親になったの?ラプンツェルを我が子のように愛した理由とは

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2010年に公開された映画「塔の上のラプンツェル」は新型コロナウイルスが流行する2020年5月1日に金曜ロードショーにて放映されました。主人公ラプンツェルの出身国がコロナ王国であったことや18年間監禁されていたことが外出自粛が求められる現在にピタリと当てはまったため、人々から注目されているようです。

塔の上のラプンツェルを見た人の心を動かすのが今作のヴィラン(悪役)であるマザー・ゴーテル。彼女は「自分の美貌のためだけにラプンツェルを18年監禁した魔女である」と判断されがちですが、実は「ただ自己中心的だった魔女」だけではありません。

このページではゴーテルについて映画以外の情報もまとめてみました。

アイキャッチ画像はディズニー公式HP「ゴーテル」より

”塔の上のラプンツェル”でのゴーテル

映画「塔の上のラプンツェル」でのゴーテルは、実年齢400歳の魔女でどんな病気も治す金色の花を長く独占していました。しかし妊娠中の王妃(ラプンツェルの母)が病気となったため、その力を求めた国王たちによって金色の花は摘まれてしまいます。

金色の花のおかげで無事にラプンツェルは生まれ、母たる王妃も無事に産後回復を遂げました。金色の花の奪還を狙うゴーテルは城に侵入し、ラプンツェルがその力を髪に宿していることを知って髪を切りますが、ラプンツェルから切り離された髪はただの髪となり金色の花の力を失うことに気付きます。

金色の花の力を独占するために、ゴーテルはラプンツェルを誘拐・監禁。彼女の母親として振る舞い、外の世界へ興味を持つラプンツェルに外の世界がどれほど危険か、自分がラプンツェルをどれほど大事に思っているか、ラプンツェルがどれほど無力なのかを言い含めてきました。

18歳の誕生日を迎えるラプンツェルがフリン(ユージーン)と出会ったことによって物語は大きく動きます。

ゴーテルはフリンとともに塔の外へ出て行ったラプンツェルを追い、最終的にフリンをナイフで刺してしまいます。しかしフリンは最後の力を振り絞ってラプンツェルの髪を切り落とし、彼女を運命から解放しました。その時ラプンツェルの髪は魔法の力を失ってしまい、ゴーテルは実年齢通りの老婆になってしまいました。美貌を失ったことでパニックになったゴーテルはその後塔から転落、灰となって消滅してしまいました。

ゴーテルはラプンツェルを”金色の花”の代用品としか見ていない

ゴーテルは金色の花の力を独占するためだけに、その力を髪に宿すラプンツェルを監禁してきました。とはいえ、彼女が素直で明るい性格のまま18歳を迎えようとしていたのは、ゴーテルとラプンツェルの関係が監禁以外は良好な親子関係を築いてきたからと言えます。

そのため、「ゴーテルはラプンツェルを愛していた」「ぽっと出の男に我が子を連れ出された挙句殺されたのは流石に可哀想」といった意見もあります。

しかしゴーテルはラプンツェルに「私はママのおかげで生きている無力の存在で、外に出たがるのは悪いことなんだ」と長い時間をかけて思い込ませました。自立心を奪うために人格否定し、親に依存させることは虐待に違いありません。

また、ゴーテルは作中でラプンツェルの髪にのみ意識を向けるシーンが多くありました。つむじにキスをする、一度塔の外へ逃げたラプンツェルと再会のハグをした時には彼女の髪しか見ていないなど、何よりも気にかけているのはラプンツェルの髪。

結論として、ゴーテルにとって一番は金色の花の力を宿すラプンツェルの髪でした。ゴーテルの言う「私のお花ちゃん」とは、そのまま私の金色の花を言い換えているだけ。金色の花の力を宿しているのであれば、それはラプンツェルでなくとも良かったのです。

ゴーテルは何故”母”になろうと思ったのか

そこで疑問になるのがどうしてラプンツェルと親子関係を築いてきたのか?という点です。

映画終盤、ラプンツェルは重傷を負ったフリンを助けるためにゴーテルへの服従を誓います。18歳となったラプンツェルを従えることが出来たのですから、まだ幼いラプンツェルを暴力と恐怖で支配すれば良好な親子関係は必要ではありませんでした。

親子関係なんて必要なかった、力づくで監禁すればよかった、それなのにどうしてゴーテルはラプンツェルの母となり彼女を”愛した”のか?

その謎を鍵は「みんなが知らない塔の上のラプンツェル ゴーテルママはいちばんの味方」で明らかとなります。

”みんなが知らない塔の上のラプンツェル ゴーテルママはいちばんの味方”でのゴーテル

「みんなが知らない塔の上のラプンツェル ゴーテルママはいちばんの味方」は2018年にディズニー公式のもと発売された小説です。

そこで明かされたのはゴーテルの生い立ち、金色の花との関係、そしてラプンツェルを監禁した本当の目的でした。

ゴーテルの生い立ちと金色の花の関係

魔法とバラで囲まれた生きている者と魔女しか入れない森に住んでいた魔女マネア。死者の女王とも呼ばれる彼女には三つ子の娘がいました。長女ヘーゼル次女プリムローズ、そして三女のゴーテルです。

魔女の世界で姿がそっくりの三つ子は神々に愛され、持てる魔力の通常の魔女の数倍になると言われていました。

しかし長女ヘーゼルは銀の髪に青の瞳、次女プリムローズは赤い髪に緑の瞳、三女ゴーテルは黒い髪に黒い瞳と、三つ子の姿は全く違いました。さらに性格も長女ヘーゼルが内気だが優しい、次女プリムローズが社交的で元気、三女ゴーテルは冷静な理知的と全く違いました。

故に三つ子は出来そこないだと思われ、母マネアは娘たちを放置して地下室で魔術に没頭。そして母マネアこそ、どんな病気でも治す力を持つ金色の花を使い、永遠の若さを保っていた魔女でした。

ゴーテルは母マネアの跡を継いで死者の女王になるという願望を持っており、母から魔術を学びたいとも思っていました。しかしマネアは出来そこないの娘たちに関心がなく、教わることもできませんでした。

そんな中、母マネアは三つ子の娘に魔法の力を与えようとしました。ゴーテルは喜んだのですが、次女プリムローズは魔法の力なんていらないと拒否。それに怒った母マネアは我が子であるプリムローズをこの世から消してしまおうとします。母に不満を持てど姉が大好きなゴーテルはとっさに助けようとしました。

その方法が、ランプの炎を金色の花に投げ込むこと。金色の花の力によって若さと美しさを保っていた母マネアは、花が燃えたことで急速に老けてしまい、花を燃やした炎とともに消えてしまいました。

実の母を殺してしまった罪悪感と後悔の中、三つ子は3人で生きて行こうとしますが、母マネアの呪いによって長女ヘーゼルと次女プリムローズが衰弱。母から魔法の力を受け取れなかった3人に魔法は使えず、抵抗する手段もありませんでした。結果、2人の姉は死亡。ゴーテルはたった1人、金色の花が輝く森に残されてしまったのです。

ゴーテルの目的は失った2人の姉を取り戻すこと

魔法の力を与えようとする母マネアに反抗し、殺されそうになった姉プリムローズを助けた結果、母を死なせてしまったゴーテル。しかしプリムローズはもう一人の姉であるヘーゼルとともに母マネアの呪いで衰弱死してしまいました。

残されたのは、魔女”死者の女王”の娘なのに魔術の使えない魔女ゴーテルたった1人。

ゴーテルは大好きな姉ヘーゼルとプリムローズを復活させるために、金色の花を利用することを決断します。

しかしゴーテルが求める金色の花の力は、他の魔女にとっても欲しいものでした。ゴーテルは姉たちを復活させるために助力を求めたマーサ、ルビー、ルシンダという3人の魔女に騙され、金色の花の大半を奪われてしまったのです。

後がないゴーテルは金色の花を誰にもとられないように独占しました。魔法の使えない魔女は老いにも勝てず、自分の命をつなぎながら姉たちを復活させる方法を模索する日々が続きます。

そしてある日、コロナ王国の兵士たちが最後の金色の花を取って行ってしまいました。このままでは姉たちを復活させる方法が永遠に失われてしまう、それを防ぐためにゴーテルは金色の花の奪還を目指してコロナ王国へと足を運んだのです。

その後、ゴーテルは金色の花の力を髪に宿す2歳のラプンツェルを誘拐、監禁。それから16年間、2人は歪だけど良好な親子関係を結んできました。

しかし2歳と言えば、はっきり物事は分からなくてもママやパパ、住んでいる家は分かりますし、個人差はあれどおしゃべりも出来る年齢です。誘拐した当初は「おうち かえる」「まま ぱぱ どこ」と誘拐犯であるゴーテルに心を開くわけもありません。

そこでゴーテルはラプンツェルに「ずっと前からこの塔に住んでいる、お外は怖い、愛してくれるのはママ(ゴーテル)だけ」と思考を植え付ける魔法をかけました。しかしゴーテルは魔法が使えません。そのため、3人の魔女に協力してもらって魔術をかけたのです。

その後の展開は映画の通り。18歳を迎えるラプンツェルは外の世界と真実を知り、ゴーテルとの親子関係はゴーテルの消滅をもって終わってしまいました。

ゴーテルが毒親になってしまった理由

母に愛されず、大好きな姉たちを”どんな病気でも治す”金色の花の力で取り戻そうとしたゴーテル。しかし別の魔女たちに金色の花の大半を奪われ、最後の1つまでもラプンツェルの父たる国王に持ち去られてしまいました。ラプンツェルの髪にその力が宿っていることに気付いたゴーテルはラプンツェルを誘拐し、その力で自分の若さと命を保ちながら姉たちの復活方法を模索していました。

その中で武力や恐怖による支配ではなく、親子関係を築いて言い含めてきたゴーテルの行動は、あまり効率的ではありません。ゴーテルは映画中でも頭の回転が良いと分かる場面が多く、自分の行動の無駄さに気付いていたことでしょう。

それでもゴーテルがラプンツェルを我が子のように扱ったのは、母から愛されなかった経験があるからだと考えられます。

母の愛に飢えていたゴーテルが2歳のラプンツェルを見て、自分はこう愛されたかったと自身の幼少期を再現しようとしたのではないでしょうか。無関心かつ放置されるネグレトを受け、そうされたことが嫌だったゴーテルはとにかくラプンツェルに関わります。

ラプンツェルが暮らしやすいように塔の中を整え、インテリアやデザイン性にも気を遣う。不自由ないように動けるスペースを確保して、彼女の好きなものや欲しいものを与える。

そうしないと不満を持ったラプンツェルが出て行ってしまうという危惧もあったのでしょう。しかしその根底は自分が母にそうして愛されたかったという点があるのではないでしょうか。

親から愛情を受けずに育ったゴーテルも、行き当たりばったりではありますがラプンツェルをきちんと育てられました。それでもラプンツェルの髪が最優先になったのは時間のなさが理由だと考えられます。

ゴーテルに圧倒的に足りなかった”時間”

18歳のラプンツェルは2歳の頃から塔に監禁され、16年という長い時間を過ごしてきました。それほどの時間を共に過ごせば当然愛情も沸いたでしょう。ゴーテルは親になるべく様々な努力をしました。好きなものを把握する、欲しいとねだられた絵具を3日かけてでも買いに行く、塔の中をラプンツェルが過ごすのに不自由ないよう整える…。ゴーテルは間違いなくラプンツェルの母でした。

しかし、その16年には差があります。18歳のラプンツェルにとって人生の大半を占める時間ですが、ゴーテルにとって400年生きた中での16年でしかありません。

ゴーテルは失った姉たちを取り戻すために300年以上金色の花の力を使って生きながらえてきました。金色の花が全て奪われてしまったゴーテルにとってラプンツェルの髪は最後の命綱。

しかもラプンツェルが監禁当初の2歳から映画に登場する18歳まで成長していることから、今後は老いていくことが分かっています。どう頑張ってもラプンツェルの寿命まであと100年もないのです。

300年かけて出来なかったことを、100年のうちに必ず成功させないといけない。もしくは100年以内に金色の花の力を別のものへ移さないといけない。

そのプレッシャーがゴーテルを母ではなく魔女へと変貌させてしまったのでしょう。ゴーテルはラプンツェルの髪を最優先し、生きて姉たちと再会するために必死でした。

おわりに

映画だけを見るとゴーテルは自分の永遠の若さのためだけにラプンツェルを16年もの間監禁してきたまさにヴィラン(悪役)でしょう。

しかしその本当の目的は失った姉たちを取り戻すことであり、出来たはずの暴力と恐怖による支配をせずにひたすら母として愛情を注いできました。その結果18歳になるラプンツェルは編み物や料理も出来る明るくて素直な女の子へと育ったのです。

300年以上姉たちを復活させられなかったゴーテルは、最後の金色の花の力を髪に宿したラプンツェルが寿命を迎えるまでに目的を達成する必要性がありました。

それがラプンツェル、魔法の髪の独占につながり、親子関係をさらに歪にしてしまったのではないでしょうか。

映画だけでなく、小説「みんなが知らない塔の上のラプンツェル ゴーテルママはいちばんの味方」を読んでから再度映画を見るのはいかがでしょうか?

ゴーテルへのイメージがころりと変わってしまうかもしれませんよ。

アイキャッチ画像はディズニー公式HP「ゴーテル」より

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